第10章 誰の言葉を信じたらいいか迷っている君へ

10 誰の言葉を信じたらいいか迷っている君へ

私たちは、今までの人類が経験したことのない、激しく変化し続ける時代に生きています。インターネットが発達し、誰もがスマホを持ち、いつでもどこでも電話ができ、メールができ、動画が見られる。そして自分で撮影した動画を世界に発信できるなんてことは、一時代前にはSF映画の中だけの夢物語でしたが、それが実現しています。

当然、情報量も増大し、便利な情報が簡単に手に入ります。しかし、生成AIという技術の急速な発展もあり、より高度なフェイク(うそ)の動画や音声がばらまかれ、何を信じたら良いのかがまったく分からない、普通の人では判断できないところまで来てしまいました。

さて、それではどうしたらよいのか一緒に考えていきましょう。

まず、なんでもすぐに言われたことを信じないことです。本当に正しいのか? という疑問をもつことが大切です。これは「クリティカルシンキング」と言って大人のビジネスの世界でも必要な考え方だとされています。

次に、みんなが言っていることが正しいとは限りません。偉い人、有名な人、専門家が言っているから正しいとも限りません。必ず自分の頭で考えて判断するくせをつけましょう。

そして、自分の判断や考えが間違っていると分かった時には、すぐに直すようにします。人間は神様ではないので判断を誤ることは当然あります。良くないのは、一度信じた考えや意見を見直さず、修正しないことです。

情報の判断には、できるだけ立場の違う人の意見を複数見比べて判断します。特に反対意見をチェックしてみることは重要です。そのとき、ただ賛成と反対のどちらかを選ぶのではなく、賛成でも反対でもない、第三の意見を自分で考えてみてください。考える力を身につける良い訓練になります。

誰の言葉を信じるかの判断は、むずかしい問題です。基本は自分の頭で考え、簡単に判断しないことです。また、相手をよく観察し、本当に信頼できる人なのかも見極める必要があります。そのためには人を見る目と鋭い感性を養う必要があります。それは、実際に多くの人と出会い、会話を重ね、意見交換や議論をして、一緒に行動するなどの人間社会の実体験を通して磨かれるものです。いろいろな経験値を積んでいきましょう

人間の歴史や心理学の研究からは多くの学びが得られます。本を読むことは人間を知る助けになります。しかし、社会の実体験を通しての学びに勝るものはありません。人との付き合いを大切にしてください。ただ、人間関係で疲れてしまわないように、適度の距離は保ちましょう。

最後に、自分の考えを言うときには、相手の状態をよく見て、はっきり言う、ソフトに言う、今言う、今は言わない、などいろいろな選択肢を自分で自由に選べるようになると、人間関係の上級者レベルになれます。

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